彼女は祈る 僕はただ、目を逸らす
僕と彼女の間には、その日から「禁句」が存在する事になった――
  時折、僕達は地面を意識することがある。
  例えば疲労した足を引きずる時。
  例えば背負った荷物の重さによろめいた時。
  そして、何よりも――
 冬。
  
  僕と彼女は高校からの帰り道を進む。
  吐く息は白く、つま先からは革靴を通して、絶え間なく雪の冷たさが伝わってくる。
  けれども僕はそんな事は気にならないくらいに、繋いだ手から伝わる彼女の暖かさを何よりも嬉しく思う。
  ――そして同時にそのことに、酷い罪悪感を覚える。
  僕はこの関係が間違っているということを知っている。
  歯車はとっくにくたびれきっていて、自分達はただ惰性で動いていることを知っている。
  そして多分、いつかは全てが壊れてしまうということも。
  雪はまだ、しんしんと降り続いている。
| ソフト名: | 誰彼〜地面を踏まない僕たちの映画〜(体験版) | 
|---|---|
| 動作OS: | Windows 8/7/Vista/XP/Me/2000/NT | 
| 機種: | 汎用 | 
| 種類: | フリーソフト | 
| 作者: | 偽カエル |